研究内容

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細胞状態を理論的に解明し高品質な細胞を設計する手法を開発する

・ヒト細胞データベースによる細胞規律表の開発

ヒト細胞種情報データベースSHOGoiNの開発を基軸として細胞規律表の開発を目指すことで細胞間の関係性や細胞種が生まれてきた自然史を科学的に解明することが可能になると期待される。情報系研究室では珍しい実験系グループを持ち、理論から実験による証明まで一貫しておこなう体制を整えていることが特徴でもある。

CiRAではiPS細胞から様々な分化細胞を作製する技術の開発が進んでいる。人工細胞の移植時の安全性を確保するため、分化させた細胞が目的とした細胞を正確に再現しているか確認する方法の開発が必要になっている。これを実現するため、当研究室ではヒト全細胞を1細胞レベルで解析する技術開発(1)とカタログ化を進め、ヒト細胞を解析した結果を保持するデータベースSHOGoiNを開発した。細胞種を横断解析し、化学元素周期表の様な細胞規律表の開発を行っている。

本データベース及び細胞規律表は再生医療で目標とするレファレンス細胞を提供し、人工細胞のQC (Quality Control) に貢献することを目標とし、その判定をするAI(人工知能)ツールも開発している。
(参考:読売新聞(2013年8月26日、朝刊p15)シリーズ「iPS細胞 臨床への挑戦」

・ヒト三次元組織のイン・シリコ再現技術の開発

SHOGoiNで収集している1細胞遺伝子発現データをもとに、ヒト細胞分化に関する遺伝子発現情報を効率よく抽出するアルゴリズムを開発している。近年、大量のヒト細胞で遺伝子発現データを測定する技術が発達したことで、測定データのみから個々の細胞種を適切に識別する遺伝子の特定が重要になり、数理・統計的手法に基づく特徴遺伝子推定とその指標の情報化を行っている。また、当研究室実験系グループから得られた遺伝子発現データ、メチル化情報を含むエピゲノムデータなどの他のさまざまなオミックス情報を統合して細胞間の距離情報を算出し、計算機上でヒト三次元組織を再構築することにも取り組んでいる(2)

・人工知能・機械学習を用いた細胞創薬、毒性評価

2016年にES細胞を用いた化合物毒性予測の論文を発表し(3)「幹細胞を用いた化学物質リスク情報共有化コンソーシアム」を立ち上げた。本コンソーシアムを核として機械学習やAI技術を用いた製薬における創薬のみならず食品や化学工業におけるリスク評価システムを開発している。
(参考:京都新聞(2017年10月28日、朝刊p27)、毎日新聞(2017年10月28日、朝刊p26)) 

(1) Panina et al. Exp. Mol. Med. (2020)
(2) Mori et al. Scientific Rep. (2019)
(3) Yamane et al.  Nucleic Acids Res. (2016)

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